Reinsbukken Kauto frå Kautokeino 絵本を芸術の域にまで高めたと言われる画家・装丁家がノルウェーにいます。レイダル・ヨハン・バルレ Reidar Johan Berle 、 1917 年ノルウェーの古都ベルゲンに生まれ、 1997 年ベルゲンにて亡くなりました。その間、ベルゲン芸術工芸学校、オスロのノルウェー工芸産業学校(現オスロ芸術大学)、デンマーク王立美術院で美術を習得し、絵本・児童書を手掛けたのは 1950 〜 70 年代が中心でした。 ノルウェー人の心の故郷、ベルゲン 氏の故郷ベルゲンは、ノルウェー西岸に位置し、12世紀〜 18 世紀まで国際交易の拠点都市として国内最大規模を誇りました。現在は、壮大なソグネフィヨルド観光のメッカとして賑わいを見せています。深く濃く歴史の刻まれた古都であり、大自然のただなかの町として、ベルゲンは、ノルウェー人の心の故郷とも呼ばれています。 ゲニウス・ロキを宿す画家 レイダル・ヨハン・バルレ レイダル・ヨハン・バルレは、そんな風景の中に育ち、呼吸し、描いた人でした。北欧の新しい時代を吸収しながらも、その創作の根底には、極北ノルウェー西岸にひろがる固有のゲニウス・ロキを宿している、そんな気がします。 例えば、切り立つ断崖、青緑のフィヨルド、停泊する漁船、潮の香り、カモメの群飛、中世のままに並ぶ木造家屋や教会 …、寂寥とした景色の中に人や生き物が息づくゆたかさを表現する。人や生き物の中に、ユーモアや永遠を描きだす。そんな画家であったと思います。 12 Dager med hurtigruten|12日間ノルウェー沿岸船の旅 フィヨルド固有のゆたかさ を写しだす 1953 年に刊行された旅行ガイドブック「 12 日間ノルウェー沿岸船旅 12 DAGER MED HURTIG RUTEN 」。 大胆な構図と 3 〜 4 色刷りによる挿絵は、どんな色彩鮮やかな絵画よりもフィヨルド固有の風景を象徴的に表現しています。 カウトケイノから来たトナカイのカウト 1963 年刊行の絵本「カウトケイノから来たトナカイのカウト Reinsbukken Kauto frå Kautokeino 」。 ノルウェー南の町に売りに出されたトナカイのカウトが、遙か約 1200km 先の北の町カウトケイノへ戻る旅の物語。針葉樹