ベルント・フリーベリ Berndt Friberg の数少ない専門書


 スウェーデンの陶芸家ベルント・フリーベリBerndt Friberg18991981)は、スウェーデン南部、窯業の町ホガナス(Höganäs)で誕生。陶工の家系で、13歳の頃から陶磁器工場で働き始め、以降、スウェーデン、デンマーク小都市の町工場に勤め、轆轤職人として技量を上げていきました。

1934年、グスタフスベリ製陶所に雇用される。当製陶所は、スウェーデン陶磁器デザインの革新者であったウィルヘルム・コーゲ(Wilhelm Kåge1889-1960)がアートディレクターを務める大手企業でしたが、高度な轆轤技能を持つフリーベリの着任は、グスタフスベリ製品の品質を大幅に向上させました。また、コーゲに師事したことや様々な人脈形成によってフリーベリ自身の作品も洗練の度を高めていきました。

1944年には製陶所内に自らの工房を設立、一介の轆轤工が当代一流の陶芸家として遇されるようになりました。この194070年代、コーゲ、フリーベリ、さらにスティグ・リンドベリ(Stig Lindberg1916-1982)が中心となり、グスタフスベリ製陶所は黄金期を迎えることにもなりました。

フリーベリの作品は、細い頸を伸ばした端正な造形のヴェースや、優美に波打つシルエットの茶碗など高度な轆轤技術に裏打ちされたフォルムが印象的です。同時に東洋の古陶磁にインスパイアされ、独自の解釈による釉薬の使用にも大きな特徴があります。1948年、51年、54年にはミラノトリエンナーレにて金賞を受賞。


本書は、ウールフ・ホード・オフ・セーゲルスタード(Ulf Hård af Segerstad1915-2006 :スウェーデンの美術デザイン史家、スウェーデン工芸協会が発行するデザイン雑誌FORM編集者)による、数少ないフリーベリに関する専門書で、フリーベリ・ファンのマストアイテムともなっています。

当時著名作家の多くが陶芸以外の分野にも活動領域を広げたのに対し、フリーベリは終生轆轤と釉薬調合を究め、硬質さと日常の用にもふさわしい温もりを湛えた、北欧ならではの器の世界が生みだしました。本書には、白衣姿で轆轤を操るフリーベリ自身の創作風景、様々な釉薬による表現手法が紹介されています。



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