Höganäs Keramik ホガナス・ケラミック
シンプルで温かみのあるマグカップ&ウッドソーサーが人気の製陶所「Höganäs Keramik - ホガナス・ケラミック」。 1988年、Boda・Noba(ボダ・ノバ)グループと合弁、2002年にiittalaグループの傘下に。現在はフィンランドのFiskarsグループのラインブランドのひとつとなっていますが、もともとはスウェーデン南部スコーネ地方、北西の港町Höganäs(ホガナス)にて1909年に設立されました。周囲は、古く鉱業地帯で採掘場が多くあり、合わせて良質な粘土も産出されたといいます。それらの資源利用による製陶業もさかんで、本製陶所は、Andersson & Johanssonという、二人の陶工・釉薬職人による工房としてスタートしました。
初期は、轆轤による素朴な生活雑器の生産・販売が中心でしたが、1920年代以降のスウェーデン近代工芸運動の流れに呼応するように、釉薬調合による美術工芸品の開発や、Mette Doller(メット・ドラー1925〜)、Hertha Bengtson (ヘルサ・ベングトソン1917年~1993年)、Signe Persson-Melin(シグネ・ペーション・メリン1925〜)などデザイナーとの協業によってテーブルウェアの新境地を広げて行きました。
1967年、企業規模の拡大もあり、二人の創業者のリタイアとともに社名もHöganäs Keramik ABへと変更。また、1970年頃には陶器生産からストーンウェア製造へシフトしました。現在、ヴィンテージ・ファンの間で人気のOld Höganäsは、ちょうどこの頃のストーンウェアが中心となっています。
ちなみにスウェーデン南端スコーネ地方は、海峡を間にデンマークを至近に捉え、歴史的にもデンマークの文化が深く浸透し、また、豊かな自然環境がひろがり夏の別荘地が数多く点在するエリアとなっています。Signe Persson-Melin(シグネ・ペーション・メリン1925〜)やLisa Larson(リサ・ラーソン1931〜)、Ingegerd Råman(インゲヤード・ローマン1943〜)ら作家が自宅・アトリエを構え、ダーラナ地方と並ぶスウェーデン手工芸の故郷とも言えるでしょう。