ノルウェー、ベルゲンの絵本画家 レイダル・ヨハン・バルレ
Reinsbukken Kauto frå Kautokeino |
ノルウェー人の心の故郷、ベルゲン
氏の故郷ベルゲンは、ノルウェー西岸に位置し、12世紀〜18世紀まで国際交易の拠点都市として国内最大規模を誇りました。現在は、壮大なソグネフィヨルド観光のメッカとして賑わいを見せています。深く濃く歴史の刻まれた古都であり、大自然のただなかの町として、ベルゲンは、ノルウェー人の心の故郷とも呼ばれています。
ゲニウス・ロキを宿す画家 レイダル・ヨハン・バルレ
レイダル・ヨハン・バルレは、そんな風景の中に育ち、呼吸し、描いた人でした。北欧の新しい時代を吸収しながらも、その創作の根底には、極北ノルウェー西岸にひろがる固有のゲニウス・ロキを宿している、そんな気がします。例えば、切り立つ断崖、青緑のフィヨルド、停泊する漁船、潮の香り、カモメの群飛、中世のままに並ぶ木造家屋や教会 …、寂寥とした景色の中に人や生き物が息づくゆたかさを表現する。人や生き物の中に、ユーモアや永遠を描きだす。そんな画家であったと思います。
大胆な構図と3〜4色刷りによる挿絵は、どんな色彩鮮やかな絵画よりもフィヨルド固有の風景を象徴的に表現しています。
1963年刊行の絵本「カウトケイノから来たトナカイのカウトReinsbukken Kauto frå Kautokeino」。
ノルウェー南の町に売りに出されたトナカイのカウトが、遙か約1200km先の北の町カウトケイノへ戻る旅の物語。針葉樹の森を抜け、夜空にうねるオーロラの下を走り、漁船団の停泊する港を眺め、ヘラジカと出会い、やがて共に育ったサーミの子どもたちのもとへ辿り着く。旅路のそれぞれのシーンは、レイダル・ヨハン・バルレでなければ描けない象徴的な美しさを備えています。
荘厳さと透明感のある絵本の世界
1967年刊行の絵本「子どもたちのためのキリスト教の教えKRISTENDOMSKUNDSKAB for de små 」。
朴訥とした絵によって構成されていますが、どこか、ステンドグラスを思わせる荘厳さと透明感があります。
その他、出版された絵本・児童書は多数あり、それぞれがノルウェー文化省や教会の文学賞を受賞しています。下記の様に代表的な絵本並べて見ると、色彩、絵による表現など装丁の美しさにも目を奪われます。
また、レイダル・ヨハン・バルレは、絵本画以外にも、アーティストとしてベルゲン周辺の公共建築の壁画などパブリックアートの創作も行っていました。
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