ヨブス姉妹がイラストを手掛けた楽譜本
有機的な植物柄が印象的なスウェーデンの手刷りテキスタイル工房 〈 JOBS HANDTRYCK 〉。その創業者デザイナーの姉妹リスベット・ヨブス(Lisbet Jobs1909〜1961)とゴッケン・ヨブス(Gocken Jobs1914〜1995)は、それ以前、陶芸家として活躍していました。
写真は、2人が1939年頃に表紙イラストを手掛けた貴重なヴィンテージの楽譜本です。
1939年当時、世界は第二次大戦へと突き進んでおり、ドイツナチスがポーランドに侵攻、11月にはフィンランド-ソ連の冬戦争が勃発しました。
スウェーデンは戦火を免れたものの、経済的な混乱や物資不足は深刻だったといいます。陶芸作家として活動していた2人にとっても、作品制作は次第に困難となりました。
そんな時、「陶芸で描いてきた様々な花柄のモチーフをテキスタイルに活かしてはいかが。」というNK(エヌコー・デパート)のテキスタイルデザイナーの奨めにより、ヨブスのプリント・テキスタイルが動き出しました。1944年のことです。
実は、写真右ゴッケン・ヨブス作画の楽譜本は1962年再出版のもの。中表紙には「TILL LISBET JOBS(リスベット・ヨブスへ)」とあります。リスベッドは、音楽家の夫との間にふたりの子をもうけ1961年に52歳の若さで急逝しています。