リーサ・ヨハンソン・パッペが在籍した フィンランド オルノ社の照明デザイン
照明デザイナーの石井幹子さんは、かつて、北欧のインダストリアル・デザインを習得するためフィンランドへ渡りました。1965年のことです。当時、オルノ社のチーフ・デザイナーだったリーサ・ヨハンソン・パッペ氏(Lisa Johansson Pape 1907–1989)にアシスタントとして採用され、照明器具デザイナーの道を歩みはじめました。
リーサ・ヨハンソン・パッペ氏のアシスタントへ
石井さんの著書『フィンランド白夜の国に光の夢』で当時の様子が語られています。今とは違って、はるかシベリア鉄道を使った五日間の旅路。ヘルシンキに辿り着いて、『「ああ、明かりの国に来たな」という実感が湧いてきました。』とあります。
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オルノ社は、フィンランドで最も古い照明器具メーカー
オルノ社は、フィンランドで最も古い照明器具メーカーとして、1921年ヘルシンキで設立され、2001年にその幕を閉じました。石井さんが在職していた頃は、ヘルシンキのデパートSTOCKMANNの資本傘下に入り、同社が最も輝いていた時期ではなかったかと思います。
柔らかな曲線と温かみのある表情を備えた照明デザイン
クールモダンとはちょっと違う、柔らかな曲線と温かみのある表情を備えたデザイン。レトロな雰囲気をたたえたオルノ社の照明器具は、今や北欧ビンテージコレクター垂涎の的です。
本書『ORNO』 は、同社の照明器具デザインの歴史、特に戦後の社会情勢や技術の進展、新しい素材の活用にともなうデザインの変化について考察しています。また、パッベ氏はじめ、グニラ・ヤング(Gunilla Jung1905-1939)、ユキ・ヌミ(Yki Nummi1925-1984)、スベア・ウィンクレア(Svea Winkler1924-2003)など著名なデサイナーとその作品を紹介しています。また、1963年から参加していた日本のデザイナー鈴木庄吾(1932-1991)についても触れています。
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