アルネ・ヤコブセンによるビルディング・デザイン STELLINGS HUS

Stellings Hus

  2002年、アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen1902〜1971)生誕100年を記念してルイス・ポールセンからペンダントライト “Stelling Pendler〈Stelling Pendants〉” が限定復刻されました。乳白色のシェードに柔らかな光が灯るこの照明器具は、名前の通り、本書のビルディング「Stellings Hus〈Stelling’s House〉」の1階店舗に下げられていました。

場所は、コペンハーゲンの歴史的中心部ガンメルトーフ(Gammeltorv)広場の一角。画材会社を営むStelling 氏の依頼を受けアルネ・ヤコブセンが設計し、1938 年に完成しました。

建物は、鉄筋コンクリート造6階建て。1・2階は深緑に塗装された鋼板で覆われ、上層部はグレーイッシュな53×53の正方形タイル貼り、窓はそのタイルの3倍角で統一されたグリットデザイン。

当時、鋼板とセラミックタイルで仕上げられた外観は、周囲の伝統的な石積みの建物に対し違和感があったらしく、建設中および完成後多くの論争と批判が引き起こしました。アルネ・ヤコブセンの建築を禁止することさえ叫ばれました。後年1991年、コペンハーゲン市指定建造物に認定。

アルネ・ヤコブセンにとっては、ベルビューピーチ〈Bellevue Strand〉開発の白い機能主義から、オーフス市庁舎の設計へと、より北欧らしいモダニズムへと移行する、そんな時期のプロジェクトでもありました。

本書には、初期のスケッチ画や、設計確定時期の外観立面、各階平面など掲載されおり、北欧モダン建築の礎を築いたアルネ・ヤコブセンの仕事ぶりが強く感じられます。また、先の照明器具をはじめ内装の扉、階段手摺り、さらにドアノブに至るまで自身によるデザインで、それぞれクローズアップされた写真も魅力的です。

本書は、2002年生誕100周年時に発行され、表紙はモノクロームの外観写真を中心に、正方形タイルを暗示させるグレーイッシュなカラーリングとデザインとなっています。

Stellings Hus

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